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「介護業界で働いて5年。手取りは16万円のまま——このままで、自分の将来は大丈夫なんだろうか」
そう感じているあなたへ。先に結論をお伝えします。介護職の給料が上がりにくいのは、あなたの努力不足ではありません。「国が決めた仕組み」に原因があります。そしてその仕組みを理解すれば、今より手取りを増やす現実的な道が見えてきます。
私は大手人材会社で3年間、RA(企業側)とCA(求職者側)の両方を経験し、400社以上の採用担当者、100人以上の求職者と関わってきました。その立場から、介護職の給料が上がらない「本当の理由」と、そこから抜け出した人たちのリアルを、忖度なしでお伝えします。
この記事を書いた人(筆者紹介)
大手人材会社で3年間、RA(企業担当)・CA(求職者担当)として勤務。400社以上の採用担当者と関わり、100人以上の転職をサポート。介護・福祉を含むさまざまな業界の求職者と向き合い、「給料が上がらない」という悩みの構造を現場で見てきました。
介護職のリアル|きつい・大変、でも社会に不可欠な仕事
最初に、介護職の現状を正直に整理します。あなたが日々感じている大変さは、気のせいでも甘えでもありません。
- 身体的負担が大きい:移乗介助・入浴介助など、腰や体への負担が常にある
- 夜勤がある:生活リズムが崩れやすく、心身の消耗が大きい
- 感情労働である:利用者やご家族への気遣い、看取りの場面など精神的な負荷が高い
- 人手不足が慢性化:一人あたりの負担が重く、休みも取りにくい
いわゆる「身体的負担・夜勤・感情労働」の三重苦に加え、社会的評価の低さが重なっているのが介護職の現実です。
元エージェントの本音:「離職率が高い業界」と思われがちですが、実は近年の介護職の離職率は改善していて、全産業の平均とほぼ同水準まで下がっています。つまり、辞める人が異常に多いわけではなく、残った人が低い待遇と人手不足に耐えている——これが本当の姿です。だからこそ、我慢し続ける前に「情報を知ること」が大事なんです。
そして忘れてはいけないのが、介護は高齢化社会にとって絶対に不可欠な仕事だということ。社会から必要とされている仕事なのに、待遇が見合っていない。この矛盾には、はっきりした理由があります。
なぜ介護職は給料が上がらないのか|「国が決める公定価格」という天井
ここが本記事の核心です。介護職の給料が上がりにくい最大の理由は、「介護報酬」という国が決める公定価格の仕組みにあります。
普通の会社は、商品やサービスの値段を自分たちで決められます。売上が伸びれば、社員の給料に還元できます。しかし介護は違います。
ここがポイント:介護サービスの対価(介護報酬)は、市場の需要と供給で決まるのではなく、3年ごとに国が改定して決める「公定価格」です。介護事業者は、この国が決めた報酬の枠の中で、人件費を含むすべてのコストを賄わなければなりません。つまり事業所がどれだけ頑張っても、給料の原資そのものに国が決めた上限があるのです。
これが「給料の天井」の正体です。あなたがどれだけ利用者に尽くしても、どれだけ残業しても、その頑張りを給料に反映する原資が、構造的に限られているのです。
「処遇改善加算」があっても格差が埋まらない理由
「介護職の待遇を上げるための制度(処遇改善加算など)があるのでは?」と思うかもしれません。確かに国は何度も処遇改善に取り組んできました。しかし、現実には全産業平均との差は埋まっていません。理由は2つあります。
- 加算は事業所ごとに分配される:国から個人の口座に直接入るわけではなく、分け方は事業所次第。結果、上がる人・変わらない人・場合によっては下がる人がいる
- そもそも全産業も賃上げしている:介護側が少し上がっても、世の中全体が賃上げするため、差が縮まらない
実際、2024年の介護報酬改定では、訪問介護の基本報酬がむしろ引き下げられ、現場に衝撃が走りました。「国の制度頼みで待遇が上がるのを待つ」のは、現実的ではないのです。
データで見る|介護職と他職種の年収差
では、介護職の給料は他の職種と比べてどのくらい違うのか。厚生労働省のデータでは、介護職員の平均給与は全産業平均より月額約8万円低いとされています。年間にすると約100万円の差です。目安として、職種別の年収イメージを比べてみましょう。

こうして並べると、介護職というだけで、同じ努力でも年収100万円前後の差がついてしまう構造が見えてきます。これはスキルや頑張りの問題ではなく、業界の仕組みの問題です。
【ケース紹介】介護5年目・手取り16万円から、事務職で手取り25万円へ
ここで、エージェント時代に私がよく見てきた、典型的なケースを紹介します。特定の個人の話ではなく、同じような境遇から抜け出した人に共通するパターンとして読んでください。
Aさん(20代・高卒・地方在住)のケース
高校卒業後、介護職として5年間勤務。利用者からの信頼も厚く、仕事には誇りを持っていた。しかし手取りは16万円のままで、昇給もわずか。一人暮らしの生活は常にギリギリで、将来の貯金や結婚を考えると不安しかなかった。「介護は好きだけど、この収入では続けられない」——そう考え、思い切って異業種(事務職)への転職を決意した。
結果、Aさんのようなケースでは、事務職へ転職して手取りが25万円前後まで上がることは十分に起こり得ます。なぜ未経験の事務職でそれが可能だったのか。ポイントは次の章です。
介護経験は、他業種で「強み」になる
「介護しかやってこなかったから、他の仕事なんて無理」と思い込んでいる人がとても多いです。でも、採用側のRAとして400社を見てきた私から見ると、介護経験者は、実は多くの企業が欲しがる人材です。
- 対人スキルが高い:利用者やご家族への対応で培った傾聴力・気配りは、事務や接客、営業で高く評価される
- ストレス耐性がある:心身ともにハードな環境で働いてきた経験は、どんな職場でも通用する
- 真面目で責任感が強い:命を預かる仕事をしてきた人材は、採用担当者からの信頼が厚い
こうした強みを、職務経歴書や面接で正しく言語化できれば、未経験職種でも十分に評価されます。やり方は転職の自己分析のやり方で解説しています。
介護から抜け出す2つの道|「異業種」か「介護で好待遇」か
ここで大事なことを言います。「介護を辞めるべき」と煽るつもりはありません。大事なのは、今の職場の外に目を向けること。選択肢は大きく2つあります。
道①|異業種へ転職する(事務・営業など)
Aさんのように、介護の外に出て年収の天井そのものを取り払う道です。事務職・営業職・販売などは、介護で培った対人スキルを活かしやすく、未経験でも挑戦しやすい職種です。年収100万円前後の差を一気に埋められる可能性があります。
道②|介護のまま、好待遇の職場へ転職する
「介護の仕事自体は続けたい」という人も多いはずです。その場合でも、同じ介護職でも、事業所によって給料・処遇改善加算の出し方・夜勤手当は大きく違います。待遇の良い施設・運営法人に移るだけで、手取りが数万円変わることは珍しくありません。今の職場の待遇が「介護の限界」だと思い込まないことが大切です。
元エージェントの本音:どちらの道を選ぶにせよ、共通して言えるのは「今の職場にい続けるのが一番もったいない」ということ。まずは求人を見て、自分の市場価値を知るだけでも世界が変わります。見るだけなら無料でノーリスクです。
失敗しないために|在職中に動く。先に辞めない
最後に、元エージェントとして最も伝えたい注意点です。勢いで先に退職してから転職活動を始めるのは、絶対に避けてください。無収入の期間ができると、焦りから「どこでもいいから」と妥協した転職をしてしまい、同じ失敗を繰り返します。必ず在職中に転職活動を始め、次が決まってから辞めるのが鉄則です。
年収アップを狙う具体的な交渉術は転職で年収を上げる方法もあわせてご覧ください。
まとめ|給料が上がらないのは、あなたのせいじゃない
- 介護の給料が低いのは「介護報酬=国が決める公定価格」という構造が原因
- 処遇改善加算があっても全産業との差(月約8万円)は埋まっていない
- 介護経験は対人スキル・ストレス耐性として他業種で高く評価される
- 抜け出す道は「異業種へ転職」と「介護で好待遇の職場へ転職」の2つ
- 先に辞めず、在職中に動くのが鉄則
介護の仕事に誇りを持って働いてきたあなたが、収入のせいで将来を諦める必要はありません。給料が上がらないのは仕組みの問題。そして仕組みは、あなたが働く場所を変えることで乗り越えられます。まずは求人を見て、自分にどんな選択肢があるかを知ることから始めてみてください。
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